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『フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』を読みました。

フェアトレードとは、発展途上国の小規模農家などとの取引で、最低買取価格を保証するなど適切な対価を払い、生産者の収入安定を図る認証システムのこと。ちなみにこれ、eco検定頻出項目です。2017年7月の第22回にも出題されました。

本書には、このフェアトレード認証をはじめ、「エシカル(倫理的)」とされるビジネスや制度が、必ずしも途上国の生産者や労働者を利するものではないことが書かれています。

著者は、英国のジャーナリストで、ナショナルジオグラフィックの番組の司会もやってるコナー・ウッドマン氏。

ご本人が、世界各地の農産物、水産物、鉱物といった原材料の産地や、衣服や電子機器が製造されている現場に実際に赴き、取材をしているのですが、体張ってますねこの人。

貧弱な装備でニカラグアのロブスター漁師とともに海に潜水してみたり、ジャーナリストであることを隠してコンゴの紛争鉱物の仲介人に会ってみたり、ロケットランチャーで武装したアフガン警察のケシ撲滅作戦に同行してみたり。

いくつかのエピソードは、主人公が悲惨な目に遭うホラーやサスペンス系の映画の導入部そのもの。ああ、この後ボートは戻ってこないんだな、とか、廃坑に埋められるんだな、とか、先頭車両がテロリストの攻撃で吹っ飛ばされるんだな、とかそんな展開を想像してしまいます。よくぞご無事で。

そして、行く先々には、自分が獲ったもの・生産したものが買えない人や、劣悪な労働環境で体を壊したり、生活のため違法行為に手を染めたりしている一般の人たちが登場します。

本書を読んで思ったのは、環境にやさしい・人にやさしいというお墨付きを得ている商品を買うことは、単なる自己満足かもしれないという疑いを持っておいた方がいいんじゃないかということでした。

eco検定の公式テキストには、「消費者市民」の定義として、こんなことが書かれています。

「消費者市民」とは、世界の生産者や労働者に公平に利益が配分されているかを確認してある「フェアトレード」の商品か、パソコンや携帯電話などに戦争の資金源となる「紛争鉱物」が用いられていないか、チョコレートやコーヒーなどの原料が不法な児童労働によって生産されたものではないかなど、消費者の選択や行動が、現代及び将来の世代にわたって社会経済情勢や地球環境に影響を及ぼすことを自覚して行動できる消費者です。

改訂6版 環境社会検定試験eco検定公式テキスト238ページ 第5章 各主体の役割・活動 5-4 03消費者としての市民より引用)

しかし、フェアトレードマークの商品は本当にフェアなのか、手にしているスマホに使われている鉱物は本当に武装勢力の資金源とは無関係なのか、チョコレートの原料の生産のどこにも不法な労働は介在していないかを知るのは容易ではありません。

また、そもそも紛争鉱物や非倫理的な労働がかかわる製品を切り捨てることは、現地の人々のためになることなのか?という疑問もわいてきます。

大企業は、「じゃ他の調達先を探すか」てなものかもしれませんが、危険な方法でロブスターを獲ったり、採掘したスズを町の仲買人(誰とつながっているかは不明)に売らなければ生活できない人もいるわけで。

なんというか、「買い物の際にエシカルで賢いチョイスをした」だけでは持続可能な社会は来ないんでないのか?ということを痛感させられた一冊でした。

eco検定の勉強をしていて、消費者市民、エシカル、フェアトレード、紛争鉱物といったキーワードに興味を持った人は必読。

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