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TOEIC等テストのスコア=英語力でないとかそんなもんわかっとるわ、と常々思っている人間として、「日本の英語教育は「大惨事」」という記事を読んで以来、茂木健一郎さんの印象はあまりよくなかった。で、2016年出版の『最強英語脳を作る』は、なるほどと思うことも多かったので、ご紹介。

件の記事はこちら。あるビデオに登場するドイツ人のワグナー専門家が、面白いことを高度な言葉(英語)でしゃべるのを聞いたのをきっかけに、日本の英語教育ついて思ったところを語る茂木氏。

上記より、一部引用させていただく。

日本の平均的な中学生、高校生が、英語における「テスト以外の要素」を実質的に体験し始めない限り、日本の英語教育は「大惨事」(disaster)であり続けるだろう。私がTOEIC嫌いなのは周知だから繰り返さないが、英語=テストだと思っている国の悲劇ないしは喜劇だとしか言いようがない。

じゃあ、英語教育における「テスト以外の要素」とは何か、と言えば、今回紹介の動画のような知的で高度な会話をどれくらい自分でやっているかということに尽きる。日本の平均的学生は経験値ゼロである。このような会話がテストの点数の対象にならないことは、言うまでもない。

「知的で高度な会話」をするということと、英語教育の話は分けて考えた方がいいと思うんだよな。いくら頭の中身が高尚でも、一定程度の英語力が身についてないと、それを英語で表現することなんかできないだろうし。

で、その一定のレベルに到達する手段として、TOEICや英検などの「テスト」は、有効だと思っている。

何より茂木さん自身も、本書によると、英検を英語力のひとつの指標として採用しているようだし。ご本人も大学の時に1級を取得しているそうだ。

英検1級を取ったときに、「ああ、これで僕は英語をある程度マスターしたんだ」と思ったのですが、実はその先もまだあって、武蔵野の逃げ水みたいに、ここに行くともっと先があるという感覚でした。そう考えると、小学校6年生で英検1級を取るぐらいじゃないと、ハーバードに行く英語力はつかないというのは、ものすごくわかりやすい譬えだと思いました。
(『最強英語脳を作る』より)

TOEICに関しては、語彙がビジネスに偏っていることを除いては、英検に劣るとは思わない。スピーキングとライティングに関しては、SWテストを利用すればいいし(高いけど)。

本書で、茂木氏は「良い英文」を読むことが大事と言っているが。しかし「良い英文」とは何かということに関しては、

「専門家が良いといっているものは、一通り、そこから学ぶしかない」
「とりあえず自分の中での基準を作っていくしかない」

という非常に漠然とした解答しか示されていない。あと、ジョークを学ぶのにYOUTUBEでBBCのコメディを見るとか。

私は、こういう曖昧な識者の意見もまた、日本の英語学習の「大惨事」の元凶だと思っている。

少なくとも、英語初級者の場合、動画や英語文学の傑作を英語学習の媒体として取り入れても、ぼーっとするだけだろう。いまTOEICにチャレンジしてる人は、惑わされずそのまま邁進した方が、英語上達への近道だと思う。

もっとも、ただ受験するだけじゃダメで、問題文を何度も聴いたり読んだり書いたりする必要はある。本書によると、人工知能だって地道に努力しているそうだ。マジックはない。脳科学の権威が、これを言ってくれたことは、評価したい。

べつに何かマジックがあるわけではなくて、ごく普通のことをただやっているだけです。回数を重ねること、集中してやること。ちゃんと自分の間違いを知って、それを修正する。人工知能はそれだけのことしかやってないので、それをやれば誰でも英語はできるようになると思います。
 人工知能は単純だから、言われたことを、ただ黙ってやっているだけです。その学習則は本当に単純で、たまたまうまくいったら、それをよく覚えておいて、それをさらにやるようにするというだけの強化学習です。

その他、本書には「自動翻訳ができれば言語習得は不要になるか」「言語習得遺伝子」など興味深いトピックが取り上げられている。英語学習者であれば、茂木さんのファンもアンチも一読してみる価値はあると思う。

そうそう、アンチといえば、今年の5月にツイッターでちょっとした祭りになったという、喉英語の人との攻防も、本書に取り上げられていて、面白かった。

発端はこれだな。

確かに、茂木さんの英語は、明らかにネイティブのそれではない。でも、聴き取れないとしたらそれは内容の問題で、おそらく同じ専門の人なら理解できるんじゃないか?という気がするんだが。いずれにしても、請願書とか大きなお世話だと思う。

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