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eco検定の勉強中に、外来生物法や特定外来生物をもっと詳しく知りたいと思った人にお薦めの本『終わりなき侵略者との闘い~増え続ける外来生物~』。このページでは、その紹介と感想を。

本書は、インターネットニュースサイト「THE PAGE」の連載「終わりなき外来種の侵入との闘い」を一冊の本にまとめたものです。著者は、国立環境研究所・侵入生物研究チームの五箇公一(ごか こういち)博士。

【連載】終わりなき外来種の侵入との闘い | THE PAGE(ザ・ページ)

一部読み比べてみましたが、ページを何枚もクリックしなければならない同連載より、書籍版のほうが格段に読みやすいですね。イラストや写真、図版も参照しやすいです。

外来種、外来生物とは何か

さて、内容についてですが「外来種」とはそもそも何でしょうか。

環境省のリーフレットでは、「もともとその地域にいなかったのに、人間活動によって他地域から導入された生物」を指すとされています。

環境省リーフレット「外来生物法(一般)」(環境省外来生物対策室 2016年10月より) ※画像部分をクリックすると、PDFが開きます
https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/01_gairai_ippan_r.pdf

ちなみに、eco検定の公式テキスト第6版101ページの「外来生物」の定義も、これとほぼ同じ。その上で、「日本の野外に生息する外来生物の数は、2,000種を超える」と解説されています。

外来種のうち、生態系などに被害を及ぼす生物は、外来生物法(2005年施行)により「特定外来生物」に指定され、輸入や飼育、栽培が禁止されています。

2017年6月時点で、特定外来生物に指定されている動植物は132種類。具体的には、アカゲザル、アライグマ、マングース、カミツキガメ、グリーンアノール、オオタナゴ、セイヨウオオマルハナバチ、ヒアリ、ゴケグモなど。本書に登場する生物たちです。

ヒアリのシルエット

外来種と在来種の区別はどうなってるの?

かねてから、外来種、外来生物についての話を聞くたびに私が思っていたことは、意図的に持ち込まれたにしろ、何かにくっついて入ってきたにしろ、邪魔になったからといって駆除するのは、人間の傲慢なのではないかということでした。

また、在来種とされている生物も、どこかの時点で海を渡ってきたかもしれず、外来種かどうかの線引きはどこで行うのか?という疑問も。

この疑問に答えてくれたのが、本書の「19 スズメもネコジャラシも大陸からやってきた 外来種が在来種かはどう決める?」です。

まず、環境省は、外来生物を「明治以降に日本に導入された生物種」と定義しているそうです。

そして、明治という線引きは、有識者の皆さんが、開国をきっかけに人の移動や物流がさかんになり始めた時代の節目だからという理由で、決められたとかで。

この定義によると、稲作文化の到来とともに大陸からやってきたというスズメや、江戸時代に持ち込まれたクサガメは外来生物ではないということになります。

すずめのイラスト

五味博士が、明治以降という線引きに賛同しているかどうかは分かりません。ただ、現代の外来種の問題は、人や物の移動の速度と量によるという記述があります。

 1700年代の産業革命以降、人間は、かつて生物が手にしたことのない強大な力を手に入れ、高速移送・長距離移送の時代に突入しました。今や、大陸間の移動は1日もかからず可能となり、寿命が短い生物でも、簡単に海を渡ることができるようになりました。
 その結果、外来種の移送量と分布拡大速度も急速に上昇し、加えて、経済発展に伴う自然環境の破壊・改変・汚染が撹乱環境を拡大させ、在来種の衰退と外来種の定着という生態系のシフトをさらに加速させました。
(『終わりなき侵略者との闘い~増え続ける外来生物~』より引用)

博士がリスクと考えているのは、「このかつてない速度での外来種の分布拡大の果てにどのような生態系が待ち構えているのか」が容易に予測できないこと。

この先どうなるか分からないので、生物多様性に対する理解が進むまでは「現状維持を図ることが最善策」として、「外来種をこれ以上増やさないことが先決」というのが現在の結論だという話です。

駆除や外来種/在来種の線引きの問題は、依然としてすっきりしませんが、われわれ一般人ができることは、日本にこれまでいなかった生物を持ち込んだり、放したり、うっかりくっつけて帰国しないようにしたりすることでしょうね。

ところで、本書から引用した部分とほぼ同じ記述があるNHK解説委員室のページを見つけました。外来生物とは何か、その問題と対策についてコンパクトにまとまった記事です。eco検定の勉強中で、外来生物法ばかりに深入りしている時間はないという方は、まずはこちらを。公式テキストの理解が深まるんじゃないかと思います。

「外来生物とわたしたちの生活」(視点・論点) 国立環境研究所 生態リスク評価・対策研究室 室長 五箇 公一 | NHK 解説委員室

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